HBO Max、Blackmagic Design製品で「海賊になった貴族」を制作

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HBO Max、Blackmagic Design製品で「海賊になった貴族」を制作

カリフォルニア州フレモント 2022年8月11日 – Blackmagic Designはこの日、HBO Maxの海賊コメディシリーズ「海賊になった貴族」の美しい映像の作成に多数のBlackmagic Design製品が使用されたことを発表した。

一見、特権に満ちた人生を送る地主階級であるジェントルマンから、向こう見ずな海賊になったスティード・ボネットは、海賊船リベンジ号の船長となる。リス・ダービーが演じる主人公のボネットは、いつ反乱を起こすか分からない船員たちから、船長としての尊敬を得ることができずにいた。しかし、悪名高い海賊・黒髭との宿命的な出会いにより、ボネットの運命は思わぬ方向に展開していく。デヴィッド・ジェンキンス(David Jenkins)氏により考案され、リス・ダービーおよびタイカ・ワイティティが主演を務める同作は、製作総指揮およびパイロット版のディレクターにワイティティ、ショーランナーにジェンキンス氏、プロデューサーにギャレット・バッシュ(Garrett Basch)氏とダン・ハルステッド(Dan Halsted)氏を迎えている。

海賊の冒険を扱った同作の制作初期段階でぶつかった困難の一つが、外海を舞台とした物語をいかに視覚化するか、ということだった。ASCの視覚美術であるサム・ニコルソン(Sam Nicholson)氏とStargate StudiosのVFXチームは、バーチャル制作を用いて、メインの撮影を扱いやすく、費用効率の高い方法で制作するための方法を考案する必要があった。ニコルソン氏は実際の海の映像を超高解像度で撮影し、複数のプレートをスティッチングした後、セットに実際に組み立てた海賊船の周囲に配置した巨大な9m x 49mのLEDウォールに表示した。

「不可能なことを可能にするという役割を請け負うことが多いんです」とニコルソン氏は語る。「プエルトリコ沖で、ボートから48Kで360度のプレートを安定して撮影する方法を編み出すのは、究極の問題解決の課題と言えますね。」

HBO Max、Blackmagic Design製品で「海賊になった貴族」を制作

制作の複数の段階で困難が伴ったと同氏は語る。フッテージの撮影、膨大な量のデータの管理、フッテージをすべてシームレスに処理する方法、そして、その映像をセットに送る方法などを割り出す必要があった。能率的に作業できるように、同氏はBlackmagic Designの製品を用いた単一のパイプラインを用いることにしたという。まず、その柔軟性の高さからBlackmagic RAWを撮影フォーマットに使用することに決めた。フッテージの処理には、編集、グレーディング、VFX、オーディオプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioを使用することで、効率性を最大限に高めた。

ニコルソン氏たちは、45度ごとに合計8台のBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proデジタルフィルムカメラをスタビライザーにリグ組みして、360度のHDRプレートの撮影をすることからテストを始めた。「360度をカバーし、複数のカメラのイメージを繋げてシームレスな映像を作成するには多くの処理を必要とします」と同氏は続ける。

カメラはATEM Mini Extremeライブプロダクションスイッチャーでコントロールされた。また、同スイッチャーは同時にすべてのカメラの収録をトリガーし、各カメラのタイムコードを一致させる役割も果たした。

テストを重ねるにつれ、そのプロセスは進化し、プエルトリコでの最終的なプレートの撮影では洗練されたアプローチが用いられた。スタビライザーのヘッドに5台のBlackmagic URSA Mini Pro 12Kデジタルフィルムカメラをマウントして作成された270度のカメラアレイは、プロトタイプと比べ操作性が改善し、さらに高い解像度での撮影が可能となった。Stargate Studiosのプレート撮影チームは、横方向の合計解像度60Kの映像を作成するために、5台のカメラを同期した。

HBO Max、Blackmagic Design製品で「海賊になった貴族」を制作

「Blackmagicの12Kカメラは、全体的に非常に高い解像度でありながら、データ出力はとても効率的です」と同氏は説明する。「各テイクは5分だったのですが、解像度が12Kのカメラを5台使用していたので、日々のカメラオリジナルのデータを高速SSDからロケ先のマス・ストレージに転送できたのには助けられました。」

フッテージはBlackmagic RAWで撮影されたため、DaVinci Resolve Studioで複数の解像度でリアルタイムで再生できた。「Blackmagic RAWは、高解像度のイメージングにおいて、ニッチでありながら極めて重要な役割を果たしてくれました」と同氏は続ける。「イメージングシステムは、その種類を問わず、適切なワークフロー、適切な機材、データ管理に対する適切なアプローチを選択することは非常に重要です。カメラへの収録は簡単です。しかし、そのファイルをアンロードや転送、トランスコード、配信、カラーグレーディング、そしてその他の処理をしてセットで使用できるようにする必要があります。Blackmagic RAWはとても効率的であるだけでなく、ルックも優れています。」

メインの撮影の準備のために、Stargate Studiosのスタッフはフッテージの処理を行い、DaVinci Resolve StudioのFusionページでスティッチングした後、ATEM Constellation 8Kライブプロダクションスイッチャーを通して、複数のDaVinci Resolve Studioから単一のライブフィードを作成した。カラーグレーディングされた最終的な合成は、Epic Gamesのアンリアル・エンジンに取り込まれ、カメラトラッキングと20KのLEDウォールへの軸外分配が行われた。ライブフィードは上手く機能したが、最終的なグレーディングが施された映像をディスクベースのレコーダーに収録することで、すばやくアクセスできると同氏は気づいた。HyperDeck Extreme 8K HDRレコーダーは、巨大な解像度のイメージをDaVinci Resolve Studioから収録する上で重要な役割を果たし、映像をいつでも瞬時に再生できるようになった。

「海賊になった貴族」のような海賊コメディは、バーチャル制作とは掛け離れたプロジェクトのように思えるが、同氏にとって、視聴者がシーンの裏側に多くの努力が費やされていることに気づいているかどうかに関わらず、物語に真実味を持たせることが重要であったという。「バーチャル制作の種類は様々です。1台の有機ELディスプレイから、フットボール場サイズのLEDウォールまで、大きく異なります。イメージがリアルに感じられれば、俳優から監督、もちろん視聴者まで、関係者全員にとって利益となります。しかし、どの段階においても、イメージを見て『これはリアルに見える』と自分の中でつぶやくことができたなら、それは良い仕事ができた証だと思っています」と同氏は締めくくった。

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