短編アニメーション「青い羽みつけた!」、ポストプロダクション作業にDaVinci Resolve Studioを使用

  • Blackmagic Design
短編アニメーション「青い羽みつけた!」、ポストプロダクション作業にDaVinci Resolve Studioを使用

東京、日本 2021年8月4日 – Blackmagic Design はこの日、アニメ制作会社Noovo Inc. が企画・制作した短編アニメシリーズ、「青い羽見つけた!」のポストプロダクションにDaVinci Resolve Studioが使用されたことを発表した。Unreal Engineを開発したEpic Games社が展開する開発資金提供プログラムに採択された同作は、Unreal Engineで背景作成が行われ、それらの背景との合成を含めたコンポジット作業にはDaVinci Resolve StudioのFusionページ、編集にはエディットページが使用された。

最新のテクノロジーを駆使して制作された「青い羽みつけた!」は、1話5分前後、全6話からなる鳥をテーマにした短編アニメシリーズ。現在dアニメストアほか、各配信サイトで視聴可能となっている。原作絵本の水彩画タッチをそのまま生かしながら、オールデジタルで制作された。

「もともと、絵本を制作するという企画が既にあって、その際に自社でIP(知的財産)を持つものであればいろいろなチャレンジがしやすいと思ったのでアニメ化は考えておりました。またどうせやるなら新しいことに挑戦しようと言うことで、絵本のルックを最新技術を使って再現したいと思ったんです」と話すのはNoovoの代表で同アニメ作品の制作総指揮を務めた宇田英男氏。宇田氏はまた、同名原作絵本の文章も担当している。

同社はアニメーション制作会社としてフルデジタルでの制作に特化しており、作画に関しては依然として紙を使ったアナログでの手描き作業の多い日本のアニメ業界の中で、デジタルテクノロジーを取り入れて作業の効率化を図っている。今回の作品もDaVinci ResolveやUnreal Engineを使用することにより、少人数による制作ながら効率的に作業を進めることができたと言う。

短編アニメーション「青い羽みつけた!」、ポストプロダクション作業にDaVinci Resolve Studioを使用

同社ではまた、Animator Space Tokyoと呼ばれるデジタルアニメ制作施設を擁しており、デジタルアニメ制作のコンサルテーションやトレーニング、施設内設備のレンタルなどのサービスを提供している。同施設の共同運営をしているリトルビット株式会社がシステム管理を行なっている。同社小町直氏はこう話す。「弊社では、主にシステム管理や導入機材のメーカーとの窓口をしています。DaVinci Resolveがインストールされている編集室にはモニター出力用のUltraStudio 4K Miniを使用しています。またこちらにイラストレーターの方をお呼びして、タブレットメーカーさん主催のライブドローイング動画コンテンツの収録を行うことがあります。その際はATEM MiniやBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kなどを使用しています。」

アニメ制作でのコンポジット作業は撮影と呼ばれており、その工程で重要な作業のひとつにタイムシート通りに原画や動画(原画間の連続する動きを表現した画像)に対して動きをつけることが挙げられる。タイムシートはアニメ制作の指示書のようなもので、このタイムシートの指示を基にコンポジター(撮影担当者)はどのコマをどのタイミングで使用するか決める。

「タイムシートをFusionに読み込むために弊社でスクリプトを作成しました。タイムシートを読み込ませて、FusionのTime Stretcher機能を使ってキーフレームに変換して動きをつける、というのがFusionでの作業工程の入り口です」と小町氏。

今回コンポジットを担当した清水理央氏はこう話す。「その工程を経て、絵本のタッチに寄せるためにFusionで様々なエフェクトをかけてキャラクター処理を行いました。背景とキャラクターを合成して、場合によってはカメラワークをつけて動きを出しています。」

「DaVinci Resolveの利点は、Fusionページでコンポジットを組んだものがそのまま編集タイムラインでシームレスにつながった状態ですぐに見られる点です。従来の工程だと、コンポジットと編集は断絶していて、つながったものを確認するにはエディターに書き出してもらう必要がありました。また複数人でコンポジット作業する場合は、コンポジター同士でもお互いの作業を確認するにはプロジェクトをもらって開き直さないといけないんです。その点、DaVinciはコラボレーション機能を使って他のスタッフの作業内容に簡単にアクセスできるので前後のカットのバランスを取りやすいです。」

短編アニメーション「青い羽みつけた!」、ポストプロダクション作業にDaVinci Resolve Studioを使用

清水氏は続ける。「今回は、編集も私が担当しました。DaVinci Resolveを導入したことで、従来断絶していた編集とコンポジットを分けないと言うのもメリットの1つだと思います。今回のようにコンポジットと編集を同じスタッフが行う構造にもしやすいですし、エディターが別にいる場合でも、同じプロジェクトを共有できます。」

今回の作品で、DaVinci Resolveのコラボレーション機能は重要な役割を果たした。小町氏はこう話す。「清水さんは自宅作業がメインだったので、このスタジオにプロジェクトサーバーを立ててVPNで遠隔でアクセスできるようにしました。編集室のマシンと清水さんの自宅のマシンを常にコラボレーションの状態にしておくことで、ラッシュチェックや編集チェックの時にスタジオを使ってもプロジェクトやデータを持ち込まなくていいので楽でした。」

「また、私自身が清水さんにDaVinci Resolveのトレーニングをしていたこともあり、予定が押した時にコンポジットの一部を手伝ったことがありました。コラボレーション機能を使って自宅で作業を行ないましたが、同じプロジェクトを同時に開けるので、清水さんに出来上がったものをチェックしてもらうやり取りもスムーズでした。エフェクトの共有も簡単で、ノードをコピーしてテキストデータとしてメモ帳に貼り付けて、それをFusionのノードエディターにペーストすれば同じエフェクトを再現できて便利でした。さらに、リモートレンダリング機能を使ってスタジオにいる私がマシンをリモートレンダリングモードで起動しておいて、清水さんにレンダリングのジョブをスタジオマシンに投げ込んでもらってレンダリングするというレンダーファーム的な使い方もしました。これによって清水さんは他の作業を進めつつ、レンダリングも同時に行うことができました。」

「コラボレーション機能を使うことで同じ場所にいなくても誰が何をしているのか確認がしやすかったですね。」と清水氏は付け加える。「例えば、遠隔でレンダリング中に自分のマシンからその進行状況が分かります。他のソフトウェアでも別マシンでレンダリングさせる機能はありますが、その状況は実際にレンダリングを行なっているマシンを見に行かないと確認できないのです。その点DaVinciは、自分が立ち上げたプロジェクト上で別マシンの進行状況が分かるので視認性が高くて良かったです。また今回、チーフディレクターの川越さんもDaVinciを使えたので、コラボレーション機能でFusionのコンポジットの内容をチェックしてもらうことができました。通常はディレクターやプロデューサーからは私の作業はブラックボックス化して見えない状態ですが、微調整程度であればディレクター自身でもできてしまったのはDaVinci Resolveならではですね。」

最後にチーフディレクターを務めた川越崇弘氏はこう締めくくった。「私はバージョン12.5からDaVinci Resolveを使っていますが、アニメ制作でDaVinci Resolveを使うのはまだまだ一般的ではありません。今回DaVinciを使ってみて、Fusionで作ったものがエディットページのタイムラインに完璧にリンクされたり、コラボレーション機能でプロジェクトを共有できたりしたことはとても良かったと思います。また、DaVinci Resolveは無償版もあるので若いアニメクリエイターの人たちに試して欲しいと思っています。コンポジットと編集が同じソフトウェアということも、個人や少人数でアニメ制作するクリエイターにとってメリットだと思います。こう言ったものを活用してアニメを作る人口がどんどん増えていくといいなと思っています。」

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