「ミナリ」、DaVinci Resolve Studioでグレーディング

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「ミナリ」、DaVinci Resolve Studioでグレーディング

カリフォルニア州フレモント 2021年4月22日 – Blackmagic Designはこの日、アカデミー賞ノミネート作「ミナリ」が、FotoKemのシニアカラリストであるデイビッド・コール(David Cole)氏によりDaVinci Resolve Studioでカラーグレーディングされたことを発表した。

監督はリー・アイザック・チョン(Lee Isaac Chung)氏、撮影監督はACSおよびNZCSのラクラン・ミルン(Lachlan Milne)氏が務めた「ミナリ」は、韓国系アメリカ人一家が、アメリカンドリームを追い求めてアーカンソー州の農場に移り住む姿を描いた作品。特異で起伏の多いオザーク高原で新しく始めた生活は困難に満ちていたが、一家は苦境に負けない強さと家族の大切さを学ぶ。

モンスターズ』と『ミナリ』の作業をしながら、ラクランが他のプロジェクトを撮影しているのと同じ施設で、立て続けに私が最終的なカラーグレーディングを行えたことは、ラクランにとって大きな助けとなりました。FotoKemは、ラクランのために遠隔から作業できるワークフローを構築したので、共同で作業を行えました」とコール氏は語る。

「ミナリ」、DaVinci Resolve Studioでグレーディング

密接に連携を重ね、コール氏とミルン氏はDaVinci Resolveを使用して、プロダクション用のルックを作成した。「作品のビジョンを綿密に話し合った後、ResolveでラクランのデイリーLUTを微調整し、作品全体を通して使用できる、より力強いルックを作成しました。ResolveではCUBEファイルを描き出せるので、LUTの作成に非常に便利です。こういったLUTをラクランに渡すことで、様々な状況でどのように機能するかを確認できました。」

一家の苦闘を描いた同作の物語と登場人物は、一家の暮らす一帯の風景を中心に展開し、その風景は一家の将来に対する希望を表現している。コール氏はそのアプローチを尊重して作業を行い、監督と撮影監督もそれに追随した。「その感覚を伝えるために、ラクランとアイザックはリアルでありながら、理想的な雰囲気のルックを求めていました。」と同氏。「また、二人共、1980年代を背景にした作品であることを、わざとらしくならないように伝えたいとの意向も示していました。そこで、DaVinci ResolveでLUTをさらに調整して、1980年代のアメリカ中西部の雰囲気を大袈裟にならないようにしながら作成しました。これは、『ストレンジャー・シングス』や『ワンダーウーマン』の影響で、現在とても人気のあるジャンルなのですが、『ミナリ』ではその種のレトロなカラースペースを使用したくありませんでした。Resolveのツールのおかげで、ビジュアル面における意向を反映する上でアーティスティックに作業できました。」

「ミナリ」、DaVinci Resolve Studioでグレーディング

同作の自然で牧歌的なスタイルは、全てカメラからのみで得られた訳ではない。さり気なく、かつ効果的なルックを作成するにあたって、コール氏はPower Windowやキーなど、Resolveの様々なツールを使用した。「本作では、草原を青々と見せ、空と雲に深みを加えることで、登場人物が思い描く理想の世界を表現するために、広範囲に渡ってキーを使用しました。これにより、困難の真っ只中でも、いつか夢を叶えられると信じている様子を表現しました。」

「本作は父役のジェイコブ(スティーヴン・ユァン)と母役のモニカ(ハン・イェリ)についての映画ですが、物語は息子であるデヴィッド(アラン・キム)の視点から語られています。トレーラーハウス内でのシーンでは、親密感が得られ、温かみがあるようにしました。特に、デヴィッドが祖母と部屋を共有している場面では、それを強調しました。そういったシーンは夜間の場面なのですが、夜であることを表現しつつ、登場人物がきちんと見えるようにし、また表情を引き出すようにしました。同作のカラーグレーディングは、常に登場人物の場面ごとの感情を強調することを心がけて行いました。」

「ミナリ」、DaVinci Resolve Studioでグレーディング

コール氏は、本作のグレーディングにResolveの様々なツールを使用し、シンプルなシーンでも撮影監督の意図を反映するように作業したという。「ジェイコブとデヴィッドが農場で使う水源を探し、穴を掘るショットがあるのですが、ラクランは素晴らしい構図の鳥瞰ショットを撮影してくれました。グレーディングではシェイプを使用して、草と土の山にゴーボー効果を加えることで深みを加えました。このショットが撮影されたアングルではシャドウがあまりなく、日中に撮影されたので、遠近感に欠けていました。Resolveのシェイプのおかげで、シーンにコントラストを追加できたため、面白みのある映像となりました。」

「別のシーンでは、デヴィッドが引き出しを引っ張り出して、足に切ってしまうのですが、これも頭上からのショットで、またデヴィッドの足と床に血をVFXで追加しました。グレーディングでは、アイザックとエディターのハリー・ユーン(Harry Yoon)と共に、デヴィッドの足の下に追加する血の量を決めました。レイヤリングとロトスコープを使用して、必要な要素を選択し、微調整を加え、ショットを通して血が出てくる様子をアニメートしました。VFXショットは沢山の血が出たショット、クリーンプレートは最小限の血が出たショットを作成し、この2つの間で最適な量を表現しました。」

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