ワクチン接種予約の解説動画を市職員が作成しコールセンターの負担を軽減

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ワクチン接種予約の解説動画を市職員が作成しコールセンターの負担を軽減

目次
総務部情報政策課 事務主査
池神 いづみ 氏

全国の自治体が諸施策を広報する上で苦心しているのは、どのように情報を発信するかということかもしれない。文字を追うのが辛くなってきた高齢者もいれば、日本語が理解できない外国人もいるなど、多様な住民が暮らしているのがその理由。特に新型コロナウイルス問題が発生してからは、どの自治体も対策情報の周知徹底方法に心を砕いている。

そのような中で、福岡県久留米市が2020年12月に導入したのが、iPhone/iPad 映像制作・編集アプリ <Photron-Mobile Video Creator(フォトロン-モバイルビデオクリエーター、MVC)>。久留米市は福岡県の南西部に位置し、人口約30万人の中核市。江戸時代は久留米藩の城下町として栄え、明治22年4月に全国30市と共に市制を施行した。その後はゴム産業を中心に発展する中で、ブリヂストンやムーンスター、アサヒコーポレーションなど日本を代表する企業が生まれた。近年は高齢化率が高まり、外国人の住民数もこの10年で約2倍(2021年10月1日現在4,260人)に増えている。同市では新型コロナウイルスのワクチン接種について、<Photron-Mobile Video Creator>(以下「同アプリ」という)を使い、インターネット予約の解説動画を作成して市民に向けて配信。動画編集の初心者でも迅速かつ簡単に作成でき、コールセンターの負担が軽減されたなど、動画への評価が高まったことから、以後、同アプリを活用した動画の編集・配信の動きが市役所内で着実に広がっている。導入の経緯・目的と決め手、利用状況、使い勝手の感想を総務部情報政策課の池神いづみ事務主査、永田理紗主任主事、川原有紀主事にお聞きした。

多様な市民に伝達するために必要とされる機能を備えたアプリを選択

久留米市役所は17部148課で組織されており、情報政策課は「情報政策の総合的な企画、調整及び推進」、「情報処理システムの管理及び運用」、「情報セキュリティ」に関することを主な業務としている。その同課が動画の作成・編集ソフトの導入を検討し始めたのは2020年の春。直接の契機は新型コロナ問題だと池神氏は話す。

『3密の防止や関連施策を広報するにあたり、動画を活用すれば市役所にわざわざ足を運んでいただかなくても済むのではないか、より実効性の高い広報活動ができるのではないかと考えたのがきっかけでした』

同課では業務上、効果的な他自治体のデジタルツールの活用にも注視しており、近隣の福岡市が動画を積極的に活用していたことも今回の後押しになった。もっとも、単に動画を作成するだけなら、フリーソフトの活用という選択肢もある。久留米市でも、Blu-ray Disc Suite(CyberLink)やiPadにバンドルされている動画編集アプリiMovieを使って自ら動画を作成する部署がなくはなかった。しかし、編集機能の不足から、その仕上がりになかなか満足できず、一方で専門業者に委託すると結構なコストがかかるというジレンマがあった。そのため、使い勝手の良いアプリの導入が求められていた。そこへ新型コロナウイルス問題が発生したことから、プロポーザル方式により動画・編集ツールの公募を行い、2020年12月に同アプリの導入を決定。決め手となったのは、市側が求める動画作成に必要な機能が搭載されていたからと池神氏は説明する。

『市民向けの動画はいろいろな方への配慮が必要です。テロップは必ず入れなければならないし、音声でも内容が伝わるようにしなければなりません。外国人の住民が年々増えていることから、外国語への翻訳機能も必要です。Photron-Mobile Video Creatorは、私たちが必要とする機能をすべて備えていました』

実際、撮影した動画を見ながらのナレーション録音やBGM追加は容易にでき、入力したテキストを音声に変換するテキスト読み上げ機能も付いている。
日本語で入力したテキストの多言語翻訳も可能(100カ国以上の言語に対応)で、翻訳したテキストを音声に変換することもできる。そして動画の作成・編集の初心者でも扱いやすそうな”使い勝手の良さ”も選択理由のひとつだったという。

ワクチン接種予約の解説動画は、初心者が1週間で作成

久留米市では、<Photron-Mobile Video Creator>がインストールされたiPadを各部に配布し、そのアカウントは情報政策課が管理。同課が同アプリの使用を申告してきた課に時間単位で貸し出す形をとっている。同アプリで作成した動画の総数は20本前後ではないかと情報政策課では推測。着実に動画作成への関心が高まる中で、その火付け役となったのは同課自身だった。2021年5月から新型コロナウイルスワクチンの接種を行うことになったため、「インターネット予約方法」と「インターネットでの予約確認・変更方法」という2本の動画を作成することになった。

『新型コロナウイルス対策の担当部署が作成する予定でしたが、さまざまな対応で手が回らないのが実状でした。一方、4月に設置したばかりのコールセンターにはワクチン接種に関する問い合わせが殺到していたため、早急に説明動画を配信する必要があると判断して、当課が作成することになったのです』

実際の作業を担当した永田氏は動画の作成・編集が未経験のため、最初は不安でいっぱいだったと明かす。結果は、作業開始からわずか1週間で約3分の動画を2本完成させ、市のYouTube公式チャンネルで公開。永田氏は、素材とシナリオは担当部署で用意されていたことや同僚のサポートもあり負担は少なかったと述べながら、次のように振り返っている。

総務部情報政策課 主任主事
永田 理紗 氏
総務部情報政策課 主事
川原 有紀 氏

『非常に使いやすく、作業しながら(機能や操作方法を)覚えていったという感じです。初めて使ったので、テキスト読み上げ機能のイントネーション調整などに多少の手間がかかったものの、全体としてはマニュアルを深く読み込まなくても編集作業ができました。説明文や矢印、丸印などを画面に追加するのも簡単でした。特に便利だったのが、あらかじめ時間(写真や静止画像を動画にする時間)を設定できること。再生時間の長い動画は敬遠されることから、できるだけコンパクトにまとめるというのが前提なので、その点でも使いやすいと思いました』
完成した動画がYouTubeの久留米市公式チャンネルにアップされ、市のホームページにリンクが張られたのは2021年5月18日。以後、再生回数は予約方法の動画が2,829回、予約確認・変更方法の動画が1,099回となっている(いずれも同年12月24日時点)。それまで、市のコールセンターは問い合わせのあまりの多さに悲鳴を上げていたが、動画公開によって操作方法が分かり易くなり、負担軽減に繋がったと考えられる。

自らの手で動画を作成すれば、市民へダイレクトに思いを伝えられる

情報政策課が作成した動画の仕上がりの良さとその効果によって、他の部署からの同アプリの使用希望は増えていったという。公開講座やセミナー、イベントを担当する部局では、コロナ禍により会場に市民を集められなくなった催しを動画で視聴できるようにするなど、利用の範囲も広がっている。
情報政策課内でも池神氏が事業者向け補助金制度の紹介動画、川原氏がドローン使用のデモ動画を作成し、好評を得た。このうち、事業者向け補助金制度の紹介動画は約1分。池神氏も動画作成は初体験だったが、担当部署から提供された資料とシナリオをもとに、実質的に約3時間で完成させた。『BGMもいろいろ用意されているし、とても面白かった』と感想を述べている。
ドローン使用のデモ動画は川原氏が上司から「幹部会議でドローン使用の実効性をアピールしたいので、橋の点検作業を撮影した動画を編集してほしい」と依頼されたもので、それを約3分にまとめた。川原氏もiMovieでの動画作成をプライベートで一度したことがあるだけのほぼ初心者だったが、依頼のあったその日のうちに完成動画を提出したという。その結果、『写真で説明するより、とてもわかりやすかったとのお褒めの言葉をいただきました』と笑顔を見せる。
池神氏、永田氏、川原氏の3人の同アプリに対する感想で共通するのはマニュアルをじっくり読み込まなくても、使い方が理解できたということ。iPhoneやiPadを使える人なら、研修を受けなくても、簡単に動画を作成できるはずだと口を揃える。貸し出した部署からも使い方に関する問い合わせを受けたことがないという。さらに、3人は動画を自らの手で作成するもうひとつのメリットにも言及している。

『動画作成を外部に委託すると、私たちが市民に伝えたいことを、まず業者の方に説明して理解してもらわなければいけません。その点、自らの手で動画を作成すれば、思いや考え方を市民の方々にダイレクトに伝えられます。これは大きなメリットです』

今後の目標は編集能力に磨きをかけること。「せっかく良いツールが手に入ったのだから、職員全体でスキルアップし、親しみやすく、わかりやすい動画を配信していきたい」と意欲を示していた。

(この記事は2021年12月24日時点の情報です)

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久留米市は、九州北部、福岡県南西部に位置し、福岡県第3位の人口約30万人の中核市です。 九州一の大河「筑後川」の恵みに育まれた豊かな自然に抱かれ、江戸時代には久留米藩21万石の城下町として栄え、また、近代以降は久留米絣からゴム産業の町へとその表情を変えながら福岡県南地域の中核都市として発展してきました。交通の要衝として都市機能が充実しており、豊かな自然、全国トップクラスの医療環境、自慢のグルメなど、様々な地域資源に恵まれた魅力あふれるまちです。

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