品川・赤坂・渋谷3拠点同時更新で「Avid NEXIS」を導入

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品川・赤坂・渋谷3拠点同時更新で「Avid NEXIS」を導入

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IMAGICA Lab.(東京都品川区)は、テレビ番組編集向けの素材共有サーバーを、アビッド「NEXIS」にリニューアルした。品川プロダクションセンターと赤坂ビデオセンター、渋谷スタジオのポストプロダクション3拠点で、サーバーを止めることなく更新し、運用を続けている。番組制作で有数の設備規模を持つ同社の更新作業を取材した。

写真左から 飯星岳氏、濵野元久氏、中村仁志氏

IMAGICA Lab.の番組編集用ポストプロ設備では従来、アビッド「ISIS5000」を素材共有サーバーに利用してきた。しかし同製品は2018年末にメーカーサポートが終了。これに伴い同社はサーバーを更新した。

今回導入した「NEXIS」は、中-大規模ポストプロ環境向けで、拡張性やクライアント接続性に高い性能を持つ。容量と構成は、品川がE4シャーシ2式で180テラバイト、赤坂がE4シャーシ3式で300テラバイト、渋谷がE4シャーシ2式で180テラバイトとなる。
接続している端末は品川が約40式、赤坂が約60式、渋谷は約10式であり、ここには、ノンリニア編集室の主システムであるアビッド「メディアコンポーザー」や、リニア編集室で運用するアドビ「プレミアプロ」が含まれる。ネットワークはギガビットイーサネットが基本。メインエディター用端末はイーサネットを2系統接続することで帯域を増強している。
システムインテグレーションはフォトロンが担当した。

新サーバーで目指したもの

機種選定について、導入やメンテナンスを担当する飯星岳氏(テレビ事業本部技術グループ)は次のように説明する。

「まず、当社がメインシステムとしているメディアコンポーザーや、その他アプリケーションで使える機種であることが必要でした」

「『ワークフローが変わらないこと』も重視しました。
当社ではメディアコンポーザーのビンロック機能を使い、メインエディターとアシスタントエディターが、同じプロジェクトに同時にアクセスして編集します。これを確実に進めるには、メディアコンポーザーを開発するアビッドの製品であることが重要でした」

「ワークフローが変わらないということは、エディターが新システムの習熟に時間を割く必要がなくなるということ。システム変更に伴う負担を減らすことは、現場の作業を円滑に進めるうえで大切な点でした」

他社製品も検討したというが、確実性の高いメーカーの製品を選びたかったこと、また、サーバー環境にサードパーティー製品のプロジェクト管理ツールを取り入れていた際、機器のアップデート時期が合わず苦労した経験があったことから今回の採用に至った。
クラウドについては当初から候補に入れなかった。
飯星氏は、「当社のポストプロ設備は、お客様の著作権物を扱うという性質からセキュリティーを重視しており、編集用ネットワークを外部につなげていません。クラウドはストレージ容量を柔軟に増やせる利点がありますが、放送が終わればデータを消しているので、運用における容量の問題はありませんでした」と話している。

移行作業は1日で完了 制作工程を維持し負担少なく

サーバー更新プロジェクトは18年5月ごろから始動。現場での工事は、年末年始の特番編集が始まる前の10月末から11月にかけて実施した。

作業ではNEXISを準備すると同時に、メディアコンポーザーとISIS5000、引き続き利用する「ISIS5500」を最新版にバージョンアップした。
その後、ISIS側の書き込み機能を停止するとともに、各エディターが随時、コンソリデートなどをしながら必要なデータをNEXISにコピーしていった。一括でコピーすることで起こるトラブルや、帯域に与える影響を考えたためである。

サーバー切り替えでは現場の作業を止めずに済む方法を採った。
飯星氏は、「新しいサーバーを単純に追加すると、イーサネットスイッチのIPアドレスや社内ネットワークへのゲートウェイ設定が変わってしまい、すべての端末を設定し直す必要があります。当社は接続端末数が多いので、この工程を削減しようと考えました」と話す。
ここでは、新しく用意したスイッチに既存の機器と同様の設定を施しておき、ケーブルを挿し直すだけでNEXISに接続できるようにした。その後、古いスイッチのIPアドレスを変更し、NEXIS経由でISISに接続させた。

「朝から作業を始め夕方にはネットワーク検証が終了。移行作業自体は1日で終了したことになります」(同氏)。
サーバーの移行作業は通常、機器の設定や既存データの移動により一定の期間を要することが多いが、IMAGICA Lab.では、約1カ月前に編集室が空いている日程を営業部門と確認して移行作業を実行した。サーバーの稼働を止めたダウンタイムは品川、赤坂、渋谷の各拠点ともほぼない。3拠点同時に更新したことから、データを他拠点に移すというプロセスも経ていない。

飯星氏は、「折衝を含むさまざまな手続きを一元化したいと考えていました。同時に、ISISからの移行を前提にNEXISが開発されていたので、その機能を活用することで円滑に更新することができました」と話している。

今後の展望

NEXISの本格運用を始めて2カ月近くが経ったが、大きなトラブルはなく順調に稼働している。ストレージ内は番組や作品ごとにワークスペースをつくっており、運用規則はファイルの命名ルールを除き細かくは設定していない。ストレージの帯域はカタログ値を優に上回る数値が出ることもあるという。

品川制作部EDグループの濵野元久課長は「ISIS5000はシャーシが複数ありボリュームが分かれていました。NEXISでは1つのボリュームになったことで、エディターが保存場所を考える必要がなくなり、使い勝手がよくなりました。データの移行は問題なく進んでおり、ISISの運用もまもなく停止します」と話す。

赤坂・渋谷制作部EDグループの中村仁志課長は、「4K素材を扱うことがある渋谷は当初から40テラバイトを追加しました。一方赤坂ではデータ保存の期限を明確にしており、放送後に消去あるいは外付けHDDに移動、制作陣に返却するなどしています。これにより計画よりも20テラバイト減らして運用できています」とする。

飯星氏は「サーバーのOSはウィンドウズからリナックスになりましたが、インタフェースは変わっていません。端末をマウントするためのクライアントマネージャーも同様で、NEXISとISISを管理できます。現場はもちろん管理する私たちも楽に作業できています」という。

今後、4Kに関する対応も考えていく。濵野氏は「設備規模の大きい品川では、4Kは別サーバーを立てることになるでしょう」という。中村氏も「渋谷スタジオの4K編集室は1部屋なので専用サーバーを使う必要がありません。NEXISは通常のバラエティー番組で使うことが多く、今後については高精細化に伴うデータ量とコストのバランスを見ながら考えていくことになります」としている。

(映像新聞2019年2月4日号より転載)

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