今号のEVSニュースレターでは、VoIP（Video Over IP）への対応を加速する「Multicam 15.03」リリース情報や、2017年11月に開催された「東京2020パラリンピック1000日前イベント」におけるEVSによるマルチチャンネルスローリプレイ事例をお届けします。
IBC2017で発表された各VoIPへの対応、および一部コンフィグレーションリストの追加などをおこなった、EVS XTシリーズの最新ソフトウェア「Multicam15.03」が2018年1月にリリースする予定です。VoIPでの入出力をサポートするほか、オープンプラットフォーム、APIでの他社システムとの接続/連携も今後拡張していきます。
新しいコンフィグをサポート
スーパースローカメラとの組み合わせの拡張で、より幅広いプロダクションに対応可能
XT3 6RU / XT4K 6RU
株式会社NTTドコモが主催する 『FUTURE-EXPERIMENT』プロジェクトは、2020年代を見据えたNTTグループの最先端の通信テクノロジーを活用し、これまでにない高臨場感や新体験を伴うエンタテインメントに挑戦するプロジェクトです。2017年11月8日に実施されたPerfumeとのコラボレーションプロジェクト第一弾「VOL.01 距離をなくせ。」では、東京、ニューヨーク、ロンドンの3都市に分かれたPerfumeメンバーのパフォーマンスを、最先端の通信テクノロジーでタイムラグ無く同期させて全世界に向けてストリーミング配信し、大きな話題となりました。
エキシビションマッチ会場
2017年11月29日に実施された本プロジェクトの第二弾「VOL.02 視点を拡張せよ。」では、東京スカイツリー スカイアリーナにて、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が主催する「東京2020パラリンピック1000日前イベント」のドコモブースで、これまでにない新体感スポーツ観戦スタイルを来場者に提案しました。
本プロジェクトにおいてフォトロンは、プロジェクトの要ともいえる、EVSサーバを利用したマルチチャンネルスローリプレイサービスを展開しました。
エキシビションマッチ会場のEVSオペレーション卓
当日は、東京スカイツリー スカイアリーナとは別会場でおこなう、リオ2016パラリンピック女子車いすフェンシング金メダリストであるベアトリーチェ・マリア・ヴィオ選手と太田雄貴氏のエキシビジョンマッチを複数台のカメラで様々な視点から撮影し、その複数の映像を、東京スカイツリー スカイアリーナにある多様なモニターに同時に伝送して映し出すことで、まるでその場でフェンシングの試合がおこなわれているかのようなマルチアングルでの観戦を提案。
また、来場者に観たいアングルの映像に自由にスイッチングしながら様々な視点でのスポーツ観戦をお楽しみいただきました。
EVSサーバは通常放送用ライブプロダクションにてスローリプレイを送出することが主な目的ですが、今回のプロジェクトでは、9つのカメラアングル映像を９つのスローリプレイとしてシンク、再生送出する新しい試みで実施されました。9つのスローリプレイ映像はイベントに参加された方が手元のタブレットでリアルタイムに映像を切り替えながら任意のアングルでのスロー映像を楽しんでいただけるよう提供されました。
9つのカメラ映像がシンクされた状態でスローリプレイされることをゴールとして、3台のEVSサーバを 1080P 3REC 4PLAY で用意し、9プロダクションコントロール/メディアマネジメントシステム「IPDirector」を使って、9つの入力映像を同一TCでmark IN/OUT作業をおこないます。3台のEVSサーバのオペレータがLSMリモコンを使って、このクリップを使ってプレイリスト(PL)を作成。完成したPLを再度「IPDirector」から９つの再生ポートにアサイン、同時再生するワークフローでイベントが実施されました。
このワークフローを実施することで、通常の放送用スローリプレイに近い操作感と作業時間でマルチチャンネルスローリプレイを実現でき、イベントにライブが持つリアルタイムの臨場感、付加価値を提供することができました。
スペシャルエキシビジョンマッチ配信アーカイブ視聴はこちらから
2020年東京五輪の開催を控え、日本国内のスポーツ機運はますます高まっています。今日、スポーツ中継におけるスローリプレイ・ハイライトのスタンダート機として使用されているEVS社サーバは、今後、日本国内でさらに活躍の場を広げていくことが予想されます。
こうしたなか、日本国内唯一のEVS社正規販売代理店であるフォトロンは、『EVSオペーションをいちから覚えたい』『EVSオペレータを増やしたい』といったお客様からの声にお応えすべく、「EVSトレーニングルーム」をフォトロン本社に開設しております。
製品導入のきっかけは"サポートが良いから"と嬉しいお声をいただく当社のサポート力。
