日本時間6月13日より開幕したサッカーW杯ブラジル大会。試合を見逃すまいと、早起きが習慣になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
すでにグループリーグが終わり、決勝トーナメントが始まっています。どの国が勝ち残るのか、連日メディアでも様々な報道がされているなか、いよいよ、日本時間の7月14日に、サッカーの世界一強い国が決定します。
前回のサッカーW杯南アフリカ大会に引き続き、今回のブラジル大会でもHBS社※1のホストサーバとして、EVS社のビデオサーバが各サッカースタジアム・IBC※2で採用され、各国の代表選手のプレーやその表情をとらえています。
連日テレビで放送されているスロー映像やハイライトは、EVS社のビデオサーバから各国のメディアに提供されている映像といっても過言ではありません。
※1 HBS社:Host Broadcast Service社
メジャースポーツイベントの素材を提供する国際放送機関。スポーツメディアの最前線にいるHBSは、2002年のW杯から放送権限の中核を担っており2018年W杯ロシア大会においてもホスト放送局を務めることになっている。※2 IBC:International Broadcast Center
HBS社が統括する国際放送センター。センター内には、国ごとにスタジオ設備や映像制作設備が入っているだけでなく、24時間営業のカフェテリアなども完備されている。(左:EVS社CEO JoopJanssen氏、右:HBS社CEO Francis Tellier氏)
様々なスポーツイベントを通じて、EVS社とHBS社は15年もの間、良いパートナーシップを築いており、今回のブラジル大会では、この2社のコラボレーションにより、今までにないワークフローにも挑戦しています。
HBS社CEO Francis Tellier氏は、こう語ります。『スポーツプロダクションにおいて、EVS社とHBS社は、15年をかけて素晴らしいパートナーシップを築きあげてきました。メジャースポーツ大会の映像演出やコンテンツとしてのクオリティの向上に努め、最良のテクニカルソリューションの提供を目指して、私たちは共に仕事をしてきました。視聴者への最高の放送サービスを提供するという命題に貢献してきたと自負しています。』
では、今回のブラジル大会のシステムとは、どのようなものなのでしょうか?今回のシステムには、大きく3つのポイントがあります。
それぞれのポイントについて、次項で詳しく解説していきます。
ブラジル大会のスタジアムは、ブラジル国内の12都市に散らばっており、IBCがあるリオ・デジャネイロと、マナウスのスタジアムでは、約2,800kmも離れています。
各スタジアムでは、スローリプレイ・ハイライト送出を行う16台の「XT3」、サッカー中継用オフサイドライン自動生成システム「Epsio Live」が稼働しています。
ブラジル全土に広がる会場
各スタジアムカメラプラン
前項の「Point.1 ブラジル全土に広がる各スタジアムのライブプロダクション」や、次項でご紹介する「Point.3 センターサーバ化されたファイルベースワークフロー」は、ロンドン五輪/ソチ五輪を経て、4年間EVS社が培ってきたシステムであり、実運用されてきたものです。しかし、今大会から、国際大会としては初めての試みとして、EVS社が提供するリモートプロダクション「C-Cast Xplore」、セカンドスクリーンソリューション「C-Cast」が採用されています。
実は、前項でご紹介した図に、「C-Cast Xplore」「C-Cast Agent」が組み込まれていたことにお気づきでしょうか?
衛星回線や、光ケーブルによって各会場とIBCを繋げるしかなかった従来の方法では、回線費用の負担や、使用できる素材の制限(各スタジアムのオペレータしかカメラ映像をブラウジングできない)など、様々な問題がありました。「C-Cast Xplore」を使えば、リオにあるIBC内のオペレータが、一般的なインターネット回線を介して、最も遠隔地にあるManausスタジアムのXT3サーバ内の収録映像でさえもプレビューでき、使用したい素材をファイルとしてダウンロードすることが可能なのです。
各スタジアムに必要な機材は、「XT3」サーバと「C-Cast Agent」サーバの2つだけです。リオ・デジャネイロのIBCから、各スタジアムの「XT3」サーバを、Webブラウザで直接ブラウズします。欲しい素材にIN・OUT点を設定することで選択し、"転送"をクリックすると指定されたサーバにHDコンテンツがファイル転送されます。
「C-Cast」は、「XT3」で収録されたマルチアングル映像を、視聴者の持つタブレット端末に配信するシステムです。視聴者はオンエアに載らなかった映像を見たいタイミング、見たいアングルで視聴できます。今回のブラジル大会では、「C-Cast」の採用により、新しいスポーツ放送の楽しみ方を視聴者へ提供できたと言えます。
収録、公開クリップの作成/選定
「C-Cast」は、以下のようなさまざまな付加価値情報も、視聴者のタブレット端末へ、マルチアングルの映像と一緒に提供することができます。
IBC内のシステム、通称FIFA MAX(Media Asset Exchange)には、「XT3」と「IPDirector」によって、試合の回線収録、クリップ作成、ハイライト作成、スタジアムのある街のプロフィールなどのプレコンテンツ準備とプレイアウトが行われています。EVSロギング専用ソフトウェア「IPLogger」によってメタデータが紐付いている収録データは、「XStore」内に4,500時間以上もファイルとして収録される予定です。
また、全ての端末に、外部ストレージ内の素材検索/編集ツール「IPLink」のプラグインがインストールされており、メインの編集端末として採用された36式のどの「Adobe Premiere」からでも、「XT3」とのファイルのやり取りや、追っかけ編集が可能な環境を構築されています。
RHB※3のために提供されるプロダクションルームですFIFA MAX内で管理される映像データやメタデータを自由に使用し、自国への番組放送に使用できます。ここでは、今大会から採用された「LSM Connect」「Epsio FX」が、より魅力的なコンテンツ作りに役立てられています。
各試合の回線を収録し、5分以内のハイライト(パーマネントハイライト)を作成するためのプロダクションルームです。
テレビの視聴者数では五輪を凌ぐとも言われている世界最大のスポーツイベントサッカーW杯。
今大会の試合日程も終盤にさしかかり、ますます熱いゲームが繰り広げられています。各国代表選手の素晴らしいプレーに注目するとともに、その裏で、EVS社とHBS社がタッグを組んで世界各国にお届けしている、「感動を生むスポーツ映像演出」もぜひご覧ください。
EVS 4K切り出しシステムは、4K対応「XT3」と「Epsio Zoom」との組み合わせで、4K映像を任意のサイズでHD映像として切り出して出力するシステムです。
4Kカメラの映像を4K対応の「XT3」に入力し、4Kモニタ上でライブ/リプレイすると同時に、4K切り出しシステム「Epsio Zoom」でタッチパネル操作・マウス操作などで任意のサイズを指定して、リアルタイムでHD解像度(16:9)へ切り出が可能です。
今号のEVSニュースレターでは、この4K切り出しシステムのデモムービーをご紹介いたします。
「九州放送機器展2014」は、業務用・放送用機器および関連製品・サービスを取り扱った九州で唯一のプロフェッショナル向け業務用/放送機器展示会です。フォトロンは、当展示会にて放送業界で注目をあつめているEVS 4K切り出しシステムとともに、【スポーツ番組制作】に特化したプロダクションシステムをご紹介いたします。
「ライブ&イベント産業展」は、ライブやイベントを開催するために必要なサービスや機材が全て揃っている場を提供する目的で開催されることになった、今回が第1回目の大規模な展示会です。
【新しいライブ映像演出の提案!リアルタイムビデオ&グラフィックスシステム】をキーワードに、フォトロンも当展示会に出展いたします。