2014年4月号 
ソチ五輪に見るスポーツ放送制作ファイルベースワークフロー

最新ニュース

ソチ五輪に見るスポーツ放送制作ファイルベースワークフロー

ソチ五輪に見るスポーツ放送制作ファイルベースワークフロー

2014年2月7日~2月23日の17日間で、7競技98種目が開催されたソチ冬季五輪。日本は、長野に次ぐ8個のメダルを獲得し、大いに日本を沸かせました。世界の一流アスリートの活躍をリアルタイムで見ようと、眠い目をこすりながらTVの前で応援した人も多かったのではないでしょうか。
今号のEVSニュースレターでは、冬季五輪史上最大の200カ国の人々に感動を届けたソチ五輪放送設備の全貌をご紹介します。

ソチ五輪を支えた放送設備

IBCソチ五輪を支えた放送設備 EVSサーバ ソチ五輪を支えた放送設備

ソチ五輪では、2001年に設立されたOBS(Olympic Broadcast Service)が、ホストブロードキャスターとして各国の放送局が利用できる国際テレビ信号を提供する役割を担っています。
オリンピック公園付近に、国際スポーツ大会開催時の一時的な放送センターであるIBC(International Broadcast Centre)と、山間部に第二の放送センターであるMBC(Mountain Broadcast Center)が設けられました。OBSは、450台以上のカメラを用い、1,300時間以上もの試合・セレモニーなどの映像でONC(Olympic New Channel)※1 を制作し、IBCが世界中の80局以上ものRHB(Right Holding Broadcast)※2 に、その映像を送信しました。
IBCとは別に、スノーボードパークやアルペンスキーセンターの近くにMBCが設置され、9,000平方メートルのMoutain Clusterの土地にポストプロダクション設備を併設し、放送権利を持つ放送局が利用できるようにしていました。

  • ※1 ONC(Olympic News Channel):
    OBSが制作・配信する24時間放送のニュース番組
  • ※2 RHB(Right Holding Broadcast):
    OBSからの映像を放送する権利を所有している各国の放送局

<ソチ五輪放送>

競技数 7 種目 98
競技会場数 16 試合数 2,700
記者席数 700席 観客席数 700席
ONCでの
トータル放送時間
1,600時間 カメラ 450台以上
RHB 80局 IBC総面積 40,000平方メートル
MBC総面積 5,000 平方メートル

ソチ五輪競技会場からの中継

さて、各競技場に配置された中継車はどのようなワークフローだったのでしょうか?現地ロシアのテレビプロダクション会社 Panorama社は、約2年前からソチ五輪に備えて、「24カメラ対応中継車3台」「16カメラ対応中継車4台」「10カメラ対応中継車5台」などの新しい中継車設備を整え、EVS XT3サーバを始めとするシステムが、その中核を担っていました。大型中継車には、通常のスローリプレイやハイライト送出の用途としてXT3サーバと、ノンリニア編集機「Apple FinalCutPro」も導入されており、EVSシステムとノンリニア編集システムの相互連携を実現しています。

<24 カメラ中継車ワークフロー>

<EVS 中継車搭載機材一覧>

24カメラ対応
中継車x3台
XT3サーバ(7台)
マルチカメラ収録とライブスロー送出、クリップ作成管理、プレイリスト送出
XedioDispatcher
XedioDispatcherを接続することで、ENGファイルをGUI上でプレビューでき、必要な素材を短時間でXT3サーバにファイル転送可能。簡易カット編集機能も搭載。
Xedio CleanEdit
簡易編集が可能なノンリニア編集システム。編集後の素材はXT3にリストア。
IPDirector+IPEdit
  • IPDirector
    XT3の回線収録(自動クリップ化、ストレージへのリアルタイムバックアップ)のスケジュール管理が可能。タイムラインへのメタ情報付加、XT3内素材のファイル転送。
  • IPEdit
    XT3内素材をダイレクトに簡易タイムライン編集
Apple FinalCutPro+IPLink
「FinalCutPro」のプラグインツール「IPLink」で、ニアラインストレージ内の素材をインポート。
16カメラ対応
中継車x4台
XT3サーバ(5台)
IPDirector+IPEdit
10カメラ対応
中継車(5台)
XT3サーバ(3台)
XF2
XT3内素材のアーカイブ

また、Panorama社は、中継車の他に「Panorama Media Office」での収録/放送も行っており、そのワークフローは、XSサーバ15台により構築されていました。

<Panorama Media Officeワークフロー>

EVS Panorama Media Officeワークフロー
インジェスト XSサーバ15台(60チャンネル分)で回線収録。「IPDirector」を使い「XstoreSAN」にリアルタイムインジェスト。
編集 簡易ノンリニア編集「Xedio CleanEdit」と、「IPLink」がインストールされた「Apple FinalCutPro」で編集
ブラウジング
  • 記者やアシスタントプロデューサが「IPBrowse」を使い、社内ブラウジング
  • インターネット環境さえあれば、場所や時間を問わずストレージ内の素材をブラウジングできる「IPWeb」を利用し、ブラウジング
プレイアウト XSサーバ4台と「IPDirector」により送出。「IPDirector」は、ストレージ内にある完パケのXSへのファイル転送や、プレイアウトのコントロールを行う。

スポーツ放送制作の将来像

スポーツ放送制作の将来像

ソチ五輪では、合計約1万1千人ものオペレータやエンジニアが、現地にて昼夜を問わず働いており、リオ五輪では、約倍の数になるといわれています。しかし、開催都市にとって、このような膨大な数のスタッフを必要とする放送システムは、今後不可能と考えられており、現地スタッフ数の削減を検討する必要に迫られています。
これを受けて、ホストブロードキャスターであるOBSは、少人数でより多くのコンテンツを放送することを、今後の戦略の一つとして打ち出しています。この戦略を実現する手段のひとつとして、MDS(MultiChannelDistribution service)の存在があります。
MDSとは、24時間途切れることなく、ハイライト、インタビュー、記者レポートといったニュースプログラムをRHBに提供するサービスです。今回のソチ五輪で、OBSのMDSチームは、7チャンネル分のプログラムを常時衛星を介して、広範囲のRHBに最高水準の映像を提供しました。さらに、このMDSには、プラットフォームをシェアし、電話回線の予算を削減できるという大きなメリットもあります。
また、今回のソチ五輪において、MDSは、開催地での制作作業に限られた従来の放送システムではなく、自国にいながらにして、RHBがIBC内のMAMにリモートアクセスできる「リモートプロダクション」を構築し、現地でのヒューマンリソースの削減を可能にしました。

このリモートプロダクションの実現には、テープベースのワークフローではなく、ファイルでの素材のやり取りを中心とするファイルベースワークフローがシステムの根幹に必要となります。少人数でより多くのコンテンツを放送するスポーツ放送制作環境の実現には、今後このような制作環境の変化が伴って行くでしょう。

2020年の五輪では、HD放送と4K/8K放送の両方のワークフローが確立していくと予想されます。
4K/8K放送はもちろん、リモートプロダクションを組み込んだスポーツ放送制作ワークフローを実現するために、EVSは、中継現場での圧倒的な信頼性と安定性を誇る「XT3」サーバを中心に、多彩なアプリケーションを組み合わせて、スポーツ制作に最適なファイルベースワークフローをご提案いたします。

イベント

EVSリモートプロダクションセミナー レポート

EVSリモートプロダクションセミナー レポート

2014年3月18日(火)~19日(水)の2日間、フォトロン永田町オフィス(東京都千代田区)にて、現場に行かなくてもEVSの収録素材を編集・ハイライト作成できるワークフローをご紹介する「EVSリモートプロダクションセミナー」を開催しました。
当日は、多くのスポーツディレクター様、ハイライト編集管理オペレータ様などにご来場いただき、好評のうちにセミナーを終了しました。

NAB Show 2014 EVSブース事前情報

2014年4月7日~10日、米国ネバダ州ラスベガスにて開催される世界最大の放送機器展覧会「NAB Show 2014(NAB2014)」に出展します。EVSブースでは、XT3/XSサーバを中心に、4つのソリューションを展示します。

日時
Conference
2014年4月5日~10日
Exhibits
2014年4月7日~10日 9:00~18:00 ※最終日は14:00まで
会場 アメリカ ネバダ州 ラスベガス ラスベガスコンベンションセンター
EVSブース番号 SL-3819
出展内容

EVSスポーツ スポーツ番組向けのソリューション

  • XT3サーバを軸に「4Kソリューション(EPSIO ZOOM)」「リモートプロダクションソリューション(C-cast Xplore)」「セカンドスクリーンソリューション(C-Cast Sisco StudiumVision)」をご紹介します。

EVSエンターテイメント 
ステージショー、リアリティTV、トークショーや音楽番組向けのソリューション

  • 12ch入力/10GigabitEthernet対応でアップグレートした「XS」サーバを軸に、XDCAMコーデックでのワークフローを展示します。
  • エンターテイメントには欠かせない最適なマネージメントソフトウェア「IPDirector」「Director's Cut」「IPEdit」「XFlystreamer」実機を展示します。

EVSメディア インジェストからアーカイブまでの一括ソリューション

  • 「OpenCube HD/SD」サーバのデモンストレーションを元に、最適なMXFフォーマットでのファイルベースワークフローをご紹介します。

EVSニュース ニュース番組向けのソリューション

  • コンパクトなニュースサブの構築に新製品「XS News Flash」を初出展します。コンパクト且つコストパフォーマンスの高いニュースソリューションを、インジェストからプレイアウトまで一括で構築できます。
カンファレンス

4月6日 Broadcast Management Conference

EVS President & CEO Joop Janssen
EVS President & CEO Joop Janssen
「Shifting Media Economics: Impact on Strategy, Finance and Technology」

4月8日 Broadcast Engineering Conference

EVS Sports division Luc Douex

EVS Sports division Luc Douex
「セカンドスクリーンを用いた次世代スポーツ番組制作について」

NAB Show 2014会期中は、フォトロン現地特派員によるNAB2014ムービーレポートをお届けする予定です。 是非お楽しみに!!

製品情報

2014年春リリース!
ハイライト/追っかけ送出マネジメントシステム「OnAir Director」

ハイライト/追っかけ送出マネジメントシステム「OnAir Director」

ハイライト編集・送出システム「TL Editor」と、送出マネジメントシステム「OA Manager」の機能がひとつになり、「OnAir Director」として生まれ変わります。
「OnAir Director」は、Windowsワークステーションで、最新のEVS社XT/XSサーバをコントロールするハイライト/追っかけ編集・送出用マネジメントシステムです。EVS社サーバの信頼性と基本性能をそのままに、シンプルで分かり易いGUIで快適な操作性を実現。PCベースならではの多彩な機能で、オンエア素材の制作・編集機能・電子キューシートを搭載し、確実な送出運行、モニタリングを実現します。

お見積り・お問合わせ

ショールーム見学、デモのお申込みも
お待ちしております。
TEL03-3518-6273 営業時間 9:00~18:00(平日のみ)

  • フォトロン YouTube公式チャンネル