今年に入って急に「Netflix(ネットフリックス)」という言葉をよく耳にするようになった方も多いのではないでしょうか。フォトロンコラム初回の今号では、昨今メディアを騒がせている「Netflix」の正体と、なぜ注目されているのかについて、ご紹介します。
「Netflix」とは、アメリカに本社を置くNetflix社が展開している動画配信サービスの名称だ。1998年にDVDレンタル事業者としてスタートした同社は、郵便によるDVDレンタルサービスを展開し、1999年に月定額制サービスを始めて、爆発的な人気を得た。2007年にはストリーミング配信サービスを開始し、今では全世界で、6,200万人もの会員を持っている。その勢いはアメリカにとどまらず、カナダ、中南米、ヨーロッパにまで広がり、今では世界最大手の動画配信サービス会社にまで登りつめている。
そんなNetflix社が、2015年秋に日本でのサービス開始を発表した。「Netflix」の特徴は、以下のようなものがあげられる。
海外では、「Netflixボタン(電源OFFの状態でもボタンを押せば直接「Netflix」画面が表示されるボタン)」の利用時間が1日あたり平均1時間と非常にニーズが高く、実は6年ほど前から、日本国内メーカーでは、海外向けのテレビリモコンに「Netflixボタン」をつけて出荷していた。この「Netflixボタン」は、今年2月以降に発売された国内メーカーの2K/4Kテレビリモコンにも既に実装されている。テレビリモコン以外にも、インターネット接続テレビやタブレット起動時に、すぐ目につく場所にNetflixアイコンが表示されるようになっており、まさに、「Netflix」をいつでも、どこでも、すぐ見られる状態になっている。
このように、Netflix社の日本でのサービス開始は、ただ単に『海外企業が日本法人を立ち上げた』ということではなく、私たちのテレビ番組や映画の視聴スタイルに大きな変化をもたらすであろうと言われ、注目を集めている。
前章でご紹介したとおり、「Netflix」の主なコンテンツは、映画とテレビ・ドラマ中心のラインアップだ。海外の大手映画製作会社から供給される作品や、テレビ局制作のシリーズドラマ以外にも、Netflix社の自社制作コンテンツなどがあり、2014年3月からは、4Kコンテンツの配信も始めている。
Netflix社が日本でサービスを開始すれば、日本製コンテンツも「Netflix」で配信できるようになる。つい1か月ほど前にも、大手民間放送局がNetflix社との連携を正式に発表し、映画とテレビドラマを独占プレミアで先行配信することが決まっている。
このように、日本のコンテンツオーナーとって「Netflix」は、日本製の優れたコンテンツ(邦画や、テレビドラマ、アニメなど)の海外展開をスムーズにし、新しいビジネスモデルとなる可能性が期待できる。
ではここで、技術的な側面から「Netflix」を考えてみましょう。日本製コンテンツはどのように「Netflix」サービスに納品されるのでしょうか。
ファイルベースが主流であるアメリカに本社を持つNetflix社が推奨している納品形態は、テープやHDDでの物理的な納品ではなく、デジタルシネマパッケージ(DCP)規格をベースに新たに規格化された「IMF(Interoperable Mastering Format)」というファイルパッケージだ。
アメリカ市場では、最終形態になるファイルの種類がとにかく多い。ファイル形式やコーデック、デジタルビデオデータを扱うファイルフォーマットが多数存在しており、さらに、異なる言語や、字幕、追加ビデオなどを含む大量のマスターバージョンを会社間で簡単にやり取りできる方法も統一されていない。
『コンテンツの複数バージョンを1パッケージで簡単にやり取りするための“グランドマスターパッケージ”』が、「IMF」規格の最大の目的だ。
この「IMF」の規格化を主導しているのは、ETC USC(Enternatainment technology center @ University of Southern California)という、大手映画プロダクションやポストプロダクションのエンジニア、ROHDE&SCHWARZなどの機材メーカーの技術者で構成されたシンクタンクだ。彼らは、現場の声を反映し、使い勝手を考えながら、2007 年から規格化を行ってきた。
「Netflix」の納品形態である「IMF」には、どんなエッセンスが含まれているのでしょうか。「IMF」と「DCP」の一番の違いは、『OPL』というトランスコードパラメータの存在だ。
IMFの中身
ケーススタディ:海外映画コンテンツを日本市場向けにIMFで納品
上記の例のように、「IMF」最大のメリットは、「吹き替え」「字幕」などのバージョンニングが容易であることと、トランスコードパラメータ『OPL』による互換性の高さ、最終アウトプットの自由度の高さにある。「Netflix」上陸に伴い、「IMF」をマスタリングファイルとして、日本製コンテンツを納品するケースが今後増加していくことが予想される。
最後に、今号でご紹介した「IMF」の対応機材をフォトロン取扱製品のなかからご紹介します。
DCPマスタリングシステムとしてリリース後、2015年4月、4K IMFマスタリングに対応し、「IMF」の作成/読み込みが可能なシステム。また、DCP、AS-02、AS-11にも対応しており、必要に応じていずれかの形式を作成/読み込みができる。
1つの形式から別の形式に切り替えることもできる非常に自由度の高いシステムになっている。
「IMF」対応の4Kプレビューソフトウェア。「IMF」だけでなく、JPEG2000,IMF,DPX,TIFF,EXRフレームシーケンス、AS-11DPPフォーマット、100種類以上のキャプション/字幕フォーマット、DCP暗号化、Dolbyオーディオコーデックなど、幅広い組み合わせのメディアコンテンツのプレビューが可能だ。
すでに多くの優秀な日本製アニメコンテンツやドラマが、海外で再放送され、日本文化に興味を持つきっかけにもなっており、日本製コンテンツは、日本国内だけで視聴されるものではなくなってきている。今号でご紹介した「Netflix」の日本向け配信サービス開始は、私たちの視聴スタイルに変化をもたらすだけでなく、日本文化を海外に発信するひとつのツールとしても、大きな役割を担っていくのではないでしょうか。
私たちフォトロンスタッフも、このような時代の流れを敏感にキャッチし、皆様に発信・ご提案していきたいと思います。
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